JA2EZD Wandering World Tour
(復活版 JUL .2007:原版 CQ Ham rdio1989年7月号〜)

15MAR.2012

連載 A 

オジさんたちのカリブ海

FS




セント・マーティン&セイント・マーティン(サン.マルタン)到着



 一般にセントマーティンと呼ばれているこのカリブ海の小アンティル諸島に属する比較的小さな国(領土)は主として北のフランス領、南のオランダ領に別れておりプリフィックスもFS(仏領セント・マーティン/サン・マルタン),PJ (欄領セント・マーティン)と違います。



国際路線がある飛行場はダッチサイドにある。


プリフィックス:アマチュア無線の局名の国籍をあらわす、符号。

 このことは当然ながら行政上全てに影響していて、FSの言葉は
フランス語、切手も当然のこと、お金もフランスフランです。 これがPJ へ行けば欄語とギルダーに変わり郵便はフランス切手では出せないことになります。 このような行政上の理由があるからこそDXCC上二つのカントリーになれるのでしょうけど。

DXCC:アマチュア無線で世界のどれだけ多くの国と交信できたか   でその数を競い合う米国の無線連盟が主催の遊び














 私の立っているところが国境、右足と左足が別の国。


 ひとつの島で仏領土、と欄領土に分かれている。  
 18回戦争した結果、これでは損と気が付き勝手に 
 戦利品を山分けは欧州列国の常套手段  
  →
                                                                      

 

 
この島の経済はアメリカ人観光客で成り立っているようなところが  
有ります。実利的な理由でしょうが英語は良く通じますしUS$はどちら側の
支払も可能です。
 こんな小さな一つの島で国が違うなんてJA(日本)に居たのでは到底 

想像できません。勿論植地主義の利権争いの成れの果てでしょうが・・

 空から見るFSは入江、砂州、山、湖を持っており非常に変化に富んでいて
大変美しい島です。それゆえに観光客も多いでしょう。空港はオランダ領の
ジュリアナ空港ですが観光客の扱いになれている感じでとてもスムースです。
入国審査、税関検査、無線機、アンテナとも何の問題も無く通過しました。

 重いアンテナを引きずって空港を出ると予約してあったレンタルハウスの
女主人のシェパードさんが待っていました。彼女曰く「今日の降客で東洋人は貴方一人だから直ぐにわかったわ。」 そうでしょう、こんなところ日本人どころか東洋人も見かけません、流石に地球の裏側に来た感じです。
人種が全然違います。 イヤよく考えたら私がここでは遠いところから来た
髪も目も黒い黄色い肌のガイジンなのです。

 ここFSはアメリカの人向けの観光地らしく空港を出ずに隣でレンタカーを
借ります。いまや多くの国でそうであるようにレンタカーの多くは日本車です。
私はISUZUのGeminiを借り彼女の後を付いて行き5分、これからFS/JA2EZD 
(アマチュア無線のFSでのコールサイン)になる家に着いたのです。




                                                        日本人には信じられない、これが国境。     →
                                                                     豊かさの違いが道路にでる。 右足欄領、左足仏領。
                                                                     両国は全く自由に行き来できる。
                                                                     オランダ領(左)ゼニが無いので凸凹、とフランス領の境。




 真っ白なビーチサイドの家には真っ赤なハイビスカスが飾られトロピカル
ムードを盛り上げています。サンルーフを抜けてくる海風は肌に気持ちよく、窓
からみえるカリブ海クルーズの白い船はあまりにも済みきったコバルトブルー
とコントラスト描いていて「あーカリブ海に来たのだな!」と実感させます。

 彼女の台所の使い方を聞くのをそこそこにハム(アマチュア無線家)としては
ビニール線を接続して無線機・トランシーバーのチェックです。緊張と不安そして
期待が高鳴る瞬間です。 電源 ON!!
 うわー聞こえる、僅かAmのビニール線でもW(米国)EU(欧州の局が入感し
ています。 まず一安心・・・

 スピーカーから流れる無線交信をBGMにしながら直ぐに外で本格的アンテナ
TA33jrの組み立てに掛かります。 (TVアンテナの大型の様な物、ただしエレ
メント長が5mほどで全体で3本ある。)1時間ほどで組みたてましたがアンテナを
ポールに取付けると起こすことができません。 くみ上げると重心が上に来て一
人だと起こすことができないのです。
 ポールは彼女が親切に用意してくれていたのですが、3段式で伸ばすと全長 
12mくらいになるので一人では上げられません、せいぜい上げても5-6mが限度
なのです。仕方がありません立ち木にポールを縛りつけテスト電波を発射しました。
(近頃は発砲と言う人が居るそうですが)SWR(アンテナの状態見る機械)の数字は
悪くありません。 夢にまで見たカリブ海からの1st QSO(交信)は米国のKA9  
EURとの間で行われました。
 



 CQ(誰でも応答してください。)を出すと順調に米国から呼ばれます。 今朝
NYC(ニューヨーク市)で会ったNT2X・Edが呼んで来ました。「あまりの早いQRV
(無線を運用すること)なのでビックリした、でも59+(強力)に来ているよ。」との

事でまずは一安心。 と思ったら急に汗がどどとと噴出してきた。 そうだここは
トロピカルカントリーなのです、外で1時間も動くとそれだけで疲れてしまいます。
極端なことを言うと外を1時間歩く、それだけで疲れてしまいます。 従って多くの
ぺディション(ハムの居ないところへ行ってアマチュア無線を運用する事)でなか 
なかアンテナが上がらないのはこういう理由があるからです。
 ACの聞いた部屋に居て、ただ呼ぶだけのJAには解から無いでしょうが・

順調に50局ほどQSOし、ビームアンテナをチェックし終わり、G5RV(アンテナの型番)
張り大胆にも7MhzCW(電信での交信)に出たのです。(私はCWはイモ。)
Wと599(非常に強い信号)でQSO、 まずは主要なバンドでのQRVはOKです。

 さーてJAはどうかな?期待の1日目が始まりました。

                                                                                 


分譲住宅です。800万円ほど。




この着陸状態の動画を見たいのなら
 http://www.youtube.com/watch?v=YfX9kZksGrs&NR







数当てクイズ・QSO?


 早めの夕食はハイネッケンビールで済ませて(ここは欄国なのでハイネッケン
が安い。) 14.165Khz(アマチュア無線の周波数)のW2MIGネットでJA局探しの
網を張ります。 時間は現地時間の夕方7時、カリブ海を渡ってくる風がビールで
火照った体に気持ち良く挨拶して行きます。 本当に一人でいるのがもったいない
位です。

 無線の方はと言うと、例によってW2MIG/Edが本日のカリブ局の出席を取ってい  
ます。私もカリブ局の一員としてチェックインした後はしばらくスタンバイしてJAの
入感を待ちます。 Edが「Any one from far East?] と聞いたとき聞こえてきたのが
JA3MNM、初めて聞くJAです。シグナルは59+ 驚きの強さです。これなら行ける!
とEdの紹介の後で彼をコールしました1st JA初めての日本局です。しかしこちらの
レポート(信号の強さの事)は44なのです。 おしゃべりしてみるとどうも話が見え
ません。 こちらの質問にまともな答が返って来ません。

ここで試しにアンテナのビーム方向をいろいろ変えてみるのですが大して変化が
ありません。 彼の後JF3BFTと交信しましたがどうも同じような雰囲気です。
その後1131Z(Zは世界時間を表す記号)からJA8IXM局を皮切りに1155Z まで22
局のJAとQSOしました。 しかし私のレポートは良くて54,悪いと33・このような状態
だとラバースタンプ(紋切り型の交信)はできるのですが、それ以上の事はできませ
ん。 ややもすると今流行の「数当てクイズ14M の部 優勝決定戦。」になってしま
そうです。 まさに「QSOしているつもり」と言う感じです。 JAを捌くなんてとんでもな
い、とJAから言われそうなひ弱な信号の様です。

フェードアオウト気味の中JA7AGOから応答が無いことを最後にCWへQSY(周波数を
変更すること)して14,023でKhz CQ-JAを出してみたのですがもはや何の応答もあ
りません。 結局、初日のこの日QSOできたJAは24局でした。
                               



貸家にANT上げて・・
                                                                

 それでもこんな所まで来て何とかJAとQSOできると、なぜかしら安心してやや肩の荷
が下りた気がしました。(やはり私も日本人なのですね。) しかしフェードアウトした時
にログ(交信内容を書き留めた業務日誌)をチェックしてみるとズラーと並んだコールサ
インはOM(先輩局、有名局)ばかり。もっとも逆にそのような抜きん出てカリブ海と
QSOできるからこそOM と言われるのでしょうが。

「ちょっと待てよ、きっとこのOMの人たちはもはやすでにFSとQSOしてあるに違いない
」と思わせます。 このOM たちはそれぞれのパワーに少なくとも3エレ以上のヤギ・アン
テナを使用している事でしょう。これでは私の初期の目的「10W局に愛の手を!貴方も
できるカリブ海!」
なんて希望は夢のまた夢・・う〜ん。

やっぱりカリブは遠かった。

 しかしこの立ち木利用の4m高のアンテナでもW.EUにはまったく問題なく飛びます。
出れば直ぐにパイルアップ(1局を大勢の局が群がって呼ぶ事)まるで六本木のディスコで
王者タケチャン出現とか、青山通りを308GTSで流している感じです。 しかし大和民族の血
が騒ぐのでしょうか、なぜか日本と交信したくなるのです。地球の裏側まで来て何も日本
と無理して交信することは無いだろうに・・と、お考えの人が多いと思いますが、一旦日本の
外に出るとなぜかダイヤルは日本の局を探してしまうのです。

 PJ(オランダ側)の町フリスバーグへ出て苦労の挙句金物屋を見つけてボルト、針金、
ロープ等を買ってきてアンテナを立ち木から家の方へ移して8mhまで高さを上げました。
流石にこのときは一人ではできず家のオーナーに手伝ってもらいました。
ちなみのこの家のオーナーは同じくカリブ海の英国領セントキット(V4)から来た人たちでした。

 アンテナをセットアップしてW/EUと相互に捌いていたら、2121ZスペインのEA5FIFの後、
呼んでできたのが日本のJG1SRB、一瞬コールサインを疑いましたが、紛れも無く日本の
待望の21Mでの日本の局です。 レポートも58/59ときわめて順調! すかさずQRZ(他に誰か
呼びましたか?)と聞いたらJE7MQBが応答があり、その後はJA1FREから次から次へと日本
から呼ばれ2203Zまでの50分間に70局でログが埋まりました。

ヤッター!! JAと本格的にQSOできたんだ、との充実感で一杯でした。


Bへ続く。